【重要】コロナ禍の対策を論理的に考えてみる ⑤ 損益分岐点を計算する

コロナ禍の対策の各種判断には「事業が存続できるか」の試算が必要不可欠です。その為には損益分岐点売上高の計算が必要なのですが、残念ながらホテルの事業構造の特性上、一般的に知られている損益分岐点売上高の計算式は妥当とは言えません。

損益分岐点売上高とは

損益分岐点売上高とは、簡単に言うと「赤字を出さない最低限度の売上高」のことです。損益分岐点売上高を下回る売上が継続する場合は、そのビジネスからの撤退が検討されます。

その場合の損益分岐点売上高の計算方法としてよく使用されているのが下記の計算式です。

損益分岐点売上高 = 固定費  ÷ {1-(変動費 ÷ 売上高)}

  • 固定費
    • 費用のうち繁忙にかかわらず一定の金額となるもの
    • 例: 家賃
  • 変動費
    • 費用のうち繁忙に合わせて増減するもの
    • 例: リネン費 客室清掃費 アメニティ費

一般的な損益分岐点計算は使えない

上記の計算式は「変動費は売上高に応じて変化する」ことが前提となっています。しかし客室清掃費やリネン費など宿泊部門の主要な費用のほとんどが「客室数に応じて増減する費用」です。

変動価格制が定着したホテル業界では「売上高に応じて変わる変動費」を前提とした損益分岐点売上高の計算式は宿泊部門では使用できないのです。

つまりホテル業界では、販売室数に応じた変動費を算出することで損益分岐点売上高を算出する必要があります。この計算はあまり単純ではないので、専用のしシミュレーションツールを用意させていただきました。

〜COVID-19 フレームワーク Vol_3 損益計算ツール〜

今後は収益構造が変わる可能性が高い

「Withコロナ」という言葉がだいぶ広がってきています。ウィルスとの共存を考えなくてはならない時代は、これまでの常識が様々に変わっていく可能性が高いと考えられます。

ホテル業界でもざっくり考えて収益構造に以下の変化が起きそうです。

  1. 販売数量の抑制
    • 需要減少による販売数量の減少
    • ソーシャルディスタンスの普及による販売可能数の減少
      (レストランでは客席を間引く必要が生じる。
      宿泊にも同様の影響が生じるかは不明)
  2. 費用の増大
    • 消毒薬や清掃員向けの防護具など従来必要のない費用の増加
    • 客室備品の見直し(アルコール消毒液などの客室備品化を想定)
    • 上記などを踏まえた清掃業者からの値上げ要求
  3. 利益確保の必要性が増加
    • 借入金の返済
    • オーナーから、運営会社にも運転資金確保を求められる可能性

費用の抜本的な見直しも必要

事業継続するホテルは今後ますます抜本的費用の見直しの必要があります。少しでもヒントになるように、絶版となった「ホテルの経費節減実践テクニック 100」を、2011年当時の出版社にご許可をいただきPDF版を無償配布させていただきます。

リーマンショック(2008 年)、東日本大震災(2011 年)も大きな危機でした
が、今回の危機はそれを大きく上回るものだと考えられます。そういう意味ではこの本は今回のコロナ禍までの危機を想定して書いたものではなく、内容的には不十分であると、著者自身そう思います。

一方で少しでも参考になることがあるのであれば、それはそれで意味があるの
ではないかと思っています。

〜ホテルの経費節減実践テクニック 100〜

具体的なコスト削減策や売上確保策は後ほどまとめさせていただきます。

まとめ

  • 損益分岐点売上高の計算を行うべき
  • 宿泊部門の損益分岐点売上高計算は専用のツールが必要
  • 今後の収益構造の変化を見越して試算した方が良い

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