【重要】コロナ禍の対策を論理的に考えてみる ⑥ これからの売上予測を行う

2020年初頭から流行しているCOVID-19に起因した市場環境変化に対応した対策を打つ上で「規制期」「規制緩和期」「回復期」「安定期」それぞれのフェーズがいつになるかを想定し、ホテル業独自の産業構造をもとにした損益分岐点の計算を行うことで事業継続の可否や採算ラインにのせるための戦略を構築すべきだとの説明をこれまで行ってきました。

損益分岐点売上高はちょうど収支がバランスする売上、事業を継続する上で最低限クリアしたい売上だと言うことができますが、それと併せて「これからどの程度の売上を期待できるか」と言う検討も必要です。

コロナ禍に対応した売上予測の流れ

コロナ禍に対応した売上予測の基本的な流れは以下の通りです

  1. マーケットセグメントの切り口を変更
    • お客様を共通の傾向で分類する「マーケットセグメント(以下セグメント)」を、コロナ禍の影響を考慮しやすい切り口で再整理し、下記の分類に変更して考えることを推奨します。
      • 国内ビジネス
      • 国内レジャー
      • 海外レジャー
      • 団体
      • 新規マーケット
  2. 時間軸の検討
    • 今後の環境変化を以下の通り定義し、上記セグメント毎に時期の想定を行うことを推奨します
      • 規制期
      • 規制緩和期
      • 回復期
      • 安定期
  3. 売上予測の実施
    • 上記整理ができていることを前提に売上予測を行います
      1. 販売上限の判定
      2. セグメント毎の実績値を算出
      3. フェーズ毎の「想定率」を設定
      4. 月毎・マーケットセグメント毎にフェーズを設定

「1. マーケットセグメントの切り口を変更」および
「2. 時間軸の検討」は、
既に解説させていただいた通りですので該当記事をご参照ください。

今回解説させていただきたいのは「3. 売上予測の実施」の具体的手順です。

売上予測の具体的な手順
1. 販売上限の判定

以下の満室を目指せない可能性を考慮し販売上限がどの程度になるかを判定します。

  • 客室販売といえど「ソーシャルディスタンス」を保つ方がお客様の安心感につながると考えて稼働率の上限を敢えて設定する
  • 客室清掃担当が確保できない
  • 従業員が感染リスクを恐れる
  • 地域社会への影響を考慮し稼働率を抑える

飲食店や映画館などでは業種毎の対策ガイドラインの中にソーシャルディスタンスの考慮が挙げられており、2m程度の距離を保つ必要があるとされており、これにより販売可能な席数の減少が確定しています。

宿泊販売の場合は客室は物理的に遮断されているから客室間での感染拡大リスクは少なく、販売可能な客室数を制限する必要はないと言う考え方もお聞きします。

一方で、お客様の印象としてはロビーやレストランが混んでいたりするのも心配でしょうし、客室数も制限して販売すると言う方が安全安心につながるとの考えもあります。

〜 稼働率を50%以下に制限した例:オリックスホテルズ&リゾーツ 〜

従業員にしても地域社会にしても、ホテルが感染拡大の装置という認識になるのは好ましくありませんので、お客様への安全安心の訴求強化とともに、両者にも取り組みが正しく伝わるような配慮が必要だと思われます。
また従業員に関しては、感染予防策などのしっかりとしたトレーニングも必要でしょう。

売上予測の具体的な手順
2. セグメント毎の実績値を算出

コロナ禍の影響を考慮しやすいのが提案している「国内ビジネス」「国内レジャー」「海外レジャー」「団体」「新規マーケット」の5つのセグメントなのですが、これまでの実績集計は予約がどこから入ってきているかと言う「チャネルベース」で行っていたホテルが多いのではないでしょうか。

そこで、これまでの実績データを上記のセグメントに変換する必要が生じます。

変換が簡単なものから挙げると以下の通りとなります。

  • 団体
    • ほとんどのホテルで分離して集計できている
  • 海外レジャー
    • ほとんどのホテルで分離して集計できている
    • ほとんどのPMSでは地域別の集計機能がある
  • 国内ビジネス/国内レジャー
    • ビジネスとレジャーを分離して集計しているホテルはほぼない
    • 総数から上記2つのセグメントをほぼ国内ビジネス+国内レジャーとみなせる
    • DORを使用することで大まかに分離可能

さらに「マイクロツーリズム」と言う呼び方で地元客からの回復が期待されていますので、国内レジャーを地元客とそれ以外に分離した方が良いでしょう。
地元客も地域別実績から大まかな判定が可能でしょう。

売上予測の具体的な手順
3. フェーズ毎の「想定率」を設定

ここで言う想定率とは、過去実績からどの程度期待できるかと言う数値です。
室数・ADRのそれぞれに対してセグメント毎・フェーズ毎に想定率を設定します。

例えば「規制期」でも国内ビジネスは少量ながら発生していましたので想定率は10−20%と設定できそうですが、そもそも入国が困難な海外レジャーは想定率0%とすべきでしょう。

上図は想定率設定のサンプルです。

売上予測の具体的な手順
4.月毎・セグメント毎にフェーズを設定

「規制期」「規制緩和期」「回復期」「安定期」はそれぞれのセグメントで異なる時期に訪れます。
例えば国内ビジネス/国内レジャーは緊急事態宣言の解除により6月3日現在「規制緩和期」に入ったと言えますが、海外レジャーはまだ入国制限が解除されておりませんので「規制期」のままです。

そこで、先の見通しも含めて各月の各セグメントがどのフェーズになるかを設定していきます。

まとめ

売上予測は下記手順で行うことが推奨です。

  1. マーケットセグメントの切り口を変更
  2. 時間軸の検討
  3. 売上予測の実施
    1. 販売上限の判定
    2. セグメント毎の実績値を算出
    3. フェーズ毎の「想定率」を設定
    4. 月毎・マーケットセグメント毎にフェーズを設定

実際に数値で出してみると事態を客観的な目で把握しやすくなるでしょう。

亜欧堂では売上予測の計算を支援するためにツールを用意しました。

〜COVID-19 フレームワーク Vol_4 売上予測ツール〜

具体的な数値を元に各ホテルで状況認識を統一し対策にあたることをお薦めします。なお、売上予測は「悪いケース」「良いケース」「中間のケース」の3パターンは作成することも併せてお薦めいたします。

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