レベニュー・マネジメントとは何か① / 概念

ホテル業界ですっかり定着した感のある「レベニュー・マネジメント」
しかし残念な事に、
日本では関連する文献やトレーニングを受ける機会も乏しく、
レベニュー・マネジメント(RM)の全体像をしっかりと理解している方は少数です。
RMとは何かを簡単に説明すると
「需要予測を基に 販売を制限する事で 利益の拡大を目指す 体系的な手法」
だと言えるでしょう。
RMはホテルの産業構造に適している
ホテルはその産業構造の特性から、
「昨日売れ残った商品(客室、レストランの座席、宴会場など)」を繰り越して販売する事が出来ません。
またホテルを利用したいと思っているお客様の数(=需要)は一定ではなく、
季節やイベントの有無により大きく増減します。
ところが一番大きな需要(例:花火大会の日)に合わせて客室を用意してしまうと、
普段は客室が余る事になってしまいます。
最も大きな需要に合わせて客室を多く作ってしまうと、
ホテルの建設にかけた費用や毎日の運営に必要な費用を回収して利益を生む事が難しくなってしまうのです。
この為ホテルの商品である客室やレストランの席数は、
ある程度標準的な需要を基準として決める事になります。
需要が変動する可能性があり、
かつ供給(客室数やレストランの席数)が「最大の需要」を満たす事が出来ない仕組みになっているのが、
ホテル業界の特性なのです。
需要が高い日には、
需要を満たすだけの供給が出来ないのですから、
必ず誰かをお断りする必要が出てきます。
同じお断りするのであれば、
そのホテルが大事にしたいと思っているお客様を優先したくなるのは当然の事です。
レベニュー・マネジメントはホテルの産業構造に適した販売管理の手法
なのです。
※ 一般的には需要が高くお客様を断らなけれなならいないと予測される際に、
主に金額でお客様を選ぶことで収益が増加します。
詳しくは レベニュー・マネジメントとは何か② にて説明しています。
RMの目的は利益の拡大である
RMの目的は「利益の拡大を目指す」事です。
「売上の拡大」では不十分で、現在では利益を考慮する様になっています。
売上以外にも「販売手数料」などの費用を考慮する事で利益の拡大を図ります。
※ 最近のRMでは正規料金を廃止することで売上げの上限を無くしており、
「最大の売上」は理論上存在しなくなっています。
この為「売上の最大化」や「利益の最大化」というのは適切な表現ではなくなっています。
RMの手順は大きく2つ
RMを実践する手順は、大きく2つです。
- 需要を予測する
- 販売の制限をする
需要は変動し、
需要が高い場合には全てのお客様を受け入れるのが難しくなるのですから、
需要に応じた販売の制限をする必要があります。
この為、正確な需要予測が非常に大切な要素となります。
RMでは需要予測の正確性の基準を 3%程度 としています。
前月末に立てた予測が当月の実績に対して3%ということです。
(それぞれのホテル企業によって基準値は異なります)
この位の正確性が求められるのです。
予測を伴わず価格を変更することは、
RMではなくプライシングというべきでしょう。
理想的なRMでは予測が合っている限り価格を変動させることがありません。
需要を予測したらその需要に合わせて販売方法を調整します。
需要が高いと予測される日には、
大事にしたいと思うお客様(顧客、高い料金を払ってくださる方、など)を優先して予約を受け付けます。
反対に需要が低いと予測される日には、
多くのお客様を受け入れるべく販売の制限を緩めていきます。
RMは体系化されている
そしてRMは「体系的な手法」です。
体系的に確立している手法ですから、
きちんとトレーニングを受ければ「誰でも」実践できる様になっています。
特別に才能が必要というものでもありません。
まとめ
RMとは
「需要予測を基に 販売を制限する事で 利益の拡大を目指す 体系的な手法」
なのです。